愛知に引っ越したので伝統工芸を習い始めてみた
こんにちは。1年程前、結婚を機に会社を退職し、フリーのデザイナーに転身したRyokoです。
皆が一人前のデザイナーとして身を立てるべく上京する中、愛知へ引っ越しせねばならなかった私ですが、孤独に耐え耐え何とかやっております。けれども近所にはいい感じにお店はあるし、街は新しさと歴史あるものが同居していて面白いし、とても住みやすいです。
せっかく愛知に来たのだから、前から関心のあった伝統工芸を何かやりたい!友達もできるかも!!と思い立ち、
教室を探し、蒔絵を始めることにしました!
蒔絵の歴史
蒔絵は約1200年前から日本に伝わっているそうです。漆塗りの表面に漆で絵柄や文様を描き、漆を接着剤として金粉などを付着させ作品にしています。
軽くて丈夫な漆器は庶民の間でも流行し、ヨーロッパなどでも沢山輸出されました。
私は特に印籠(武士が所持した薬入れ)の芸術品とも言える繊細でユニークな蒔絵が好きなのですが、海外のコレクターがこぞって求めたので、一級品は日本には少なく、なかなか直接見ることが出来ないそうです。
鼠蒔絵印籠 時代・19世紀 紐通し朱漆銘「塩見政誠」金・銀研出蒔絵 東京国立博物館
香包蒔絵印籠 金蒔銘「画所預正五位下土佐守藤原光貞」、底裏金蒔銘「長谷川重美作 枉(壺印)」 江戸時代・19世紀 金薄肉高蒔絵、金切金
蝉蒔絵竹鞘印籠 金蒔銘「寛哉 龍斎(方印)」江戸時代・19世紀 鞘)金高蒔絵・錆上げ(印籠)金研出蒔絵
蛤蒔絵印籠 底裏金蒔銘「梶川作 英(朱漆描壺印)」江戸時代・19世紀 金高蒔絵、螺鈿
上記全て東京国立博物館 蔵 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
蒔絵にはさまざまな技法があり、主なものとしては下の蒔絵の絵柄の層まで木炭で研ぎ出す研出蒔絵、高く盛り上げる高蒔絵、青貝を貼る螺鈿、うずらの卵の殻を細かく砕き貼る卵殻など無数に存在します。技法を組み合わせることで繊細で芸術性の高い、高価な蒔絵に仕上がります。
漆で絵を描いてみる
先生のお手本を元に器に下絵を写し、描き初めます。
蒔絵はまず漆で絵を描きます。漆は絵の具であり、上から金粉などを撒く場合、接着剤の役割も果たします。
現在は漆や金粉にも数種類の色があるので、その組み合わせで複雑で奥深い色合いを出すことが出来ます。
描いていて難しいと思ったことは、漆は粘着性があるので、普通の顔料絵の具のように細い線を引けないこと、一度描いたらやり直しが出来ないことです。
また漆が乾くのには1~2週間かかるので、次の色に移るために、その期間を空けなくてはなりません。
上記の蒔絵は自分の下絵を元に描き、金属粉を蒔きました。初心者なのでまだ本物の金粉を使う勇気がありません..。
写真では分かりにくいのですが、花の部分と鳥が嘴で咥えている部分が螺鈿です。
現代蒔絵の職人さんは減っていますが、大学などに蒔絵を扱えるコースもあるので、新進気鋭の若い作家さんも沢山世に出ています。
従来の蒔絵の概念を覆すような芸術作品も多く、漆はガラスや布、自然物から人工物を媒体として幅広く扱えるので、とても将来性のある素材だと思います。
参考:
●「まるで宇宙…!」SNSで話題の若手漆芸家・浅井康宏の作品が神秘的すぎる!
https://intojapanwaraku.com/craft/117964/
●蒔絵や螺鈿が写しだす現代の美意識。令和の漆芸を求めて―漆芸家・服部一齋さん
https://www.fujingaho.jp/culture/craft-tableware/a41594355/kyoto-craft-latest13-shitsugei-isseyhattori/
●サイバー感溢れる漆工芸が完全にオーパーツ 職人技が生む“和電折衷”
https://kai-you.net/article/67921
蒔絵が学べる教室
大学以外で蒔絵が学べる教室は少ないと思います。私が行っている蒔絵教室は全国にあるので、興味がありましたら問い合わせてみてください。
今は金継ぎなどが若い人の間でも流行っているので、希望があれば金継ぎも学べます。金継ぎを施した上に蒔絵を描くことも出来るんです。
漆芸伝承の会
https://shitsugei.jimdofree.com/
これから蒔絵の作品が見ることのできる展示も是非行ってみてください!
大蒔絵展 -漆と金の千年物語-
2023年4月15日[土]~5月28日[日] 徳川美術館
https://maki-e.exhibit.jp/