去年の8月、私達は島根県鹿賀駅で行われた三江線えき縁日祭りのプロジェクトのお手伝いをしました。つくらむには上京してきたデザイナーが多く、いつか自分の地元に貢献したいと真剣に考えています。私達のデザインやブランディングで役に立てることも多いのではないか?そう考え、今回ロゴ、ポスター、チラシ、スタンプラリー、WEBサイトのデザイン制作に携わりました。
2018年3月旧三江線が廃線になりましたが、鹿賀の人達は、今年廃線になった旧三江線の鹿賀駅と鹿賀地区を盛り上げようと、鹿賀駅活用プロジェクトを立ち上げました。現在も三江線を活用したイベントの企画など積極的に行なっています。クラウドファインディングではミニトレインを作成し、今年お披露目されました。
東京から一番遠い鹿賀駅に行ってきました
作成したロゴとポスター。ロゴは各駅でお祭りを開催する際、使用できるように展開しました。(左)ロゴ Designer/Ai
プロジェクトに関わったメンバーで三江線えき縁日祭りに行ってきました。鹿賀駅に着くとすでに沢山のボランティアの方々が集まっていました。お祭りでは出店もあり、三江線沿線の各駅のグルメが集結しています。中には三次のわに肉(鮫肉)ナゲットや、因原駅のエゴマ鴨の焼き鳥はとても珍しく、普段は中々お目にかかれません。私達は早速流しそうめんへ。本物の竹を使った流しそうめんは初めて。器も竹でした。地元の方達が次々と竹から溢れるほどそうめんを流してくれたので、すっかりお腹が満たされました。緑に囲まれて食べるそうめんは言うまでもなく美味しかったです。
山陰地方の竹で流されるそうめんを、嬉しそうに食す渡邊AD
鹿賀駅はステージになっていて、夜まで出し物が尽きません。子供に大人気のしまねっこも応援に来てくれていました。お寺では鹿賀駅の歴史やジオラマ、数ヶ月前の西日本豪雨の被害を示した写真も展示されていました。あまり報道はされませんでしたが鹿賀周辺も多大な被害を受け、祭りの開催自体も危ぶまれたのです。そんな大変な状況の中、お祭りで少しでも元気になってもらいたいと、地元の方々が一丸となりこのお祭りを開催されたということを知り、とても胸を打たれました。私達は出し物などもお手伝いしたのですが、デザインしたスタンプラリーを買い求める人も結構いらっしゃったので嬉しかったです。台紙は現在各市町の観光協会や道の駅などで販売しています。参加駅はこちらでご確認ください。
スタンプラリーもデザインしました。スタンプは三江線の駅に設置。Designer/sasakama
夜の鹿賀駅はとても幻想的でした。道を竹灯籠が彩り、季節によっては蛍も観られるのだとか。神楽は夜の部もありました。目の前で大蛇が踊るのは圧巻。鈴木トオルさんが特別ゲストで来てくださって、『シャイニン・オン~君が哀しい~』を熱唱してくれました。鹿賀駅に響く歌声がすごく良かったです。最後は華やかな花火も見ることができました。
出店は人気で売り切れも結構ありました。
目の前で見る石見神楽は凄く迫力がありました。
線路にも竹灯籠が。山陰の静かな夜は、この日は賑やかに更けていきました。
三江線は今も人々の心の中で繋がっています
鹿賀駅は地元の方達が自費で出し合い、自分達で建てた駅舎だといいます。鹿賀駅はどれだけ大事に想われていたか、お祭りを地元の方々で企画し開催されるのを見て知ることができました。残念ながら今年鹿賀駅も駅舎が取り壊され閉業となりました。つい先日の台風の豪雨でも問題点が浮き彫りとなりましたが、孤立化における地方問題は深刻です。地域の仕事では人々の生活に密接したデザインを感じることができます。私達は現在島根県でプロジェクトに関わる機会が多く、益田市ではフリーペーパーを企画からデザインし発行しました。これからも私達のデザインでできること、役に立てることを考えていきたいと思っています。